先生の青



その日の夜は
早めにベッドに入った


目を閉じたら きっと
今日あった いろんな事を
思い出す気がして


暗い天井をじっと見つめた



「イチ、眠れない?」


先生が寝返りをうち
こっちを向いた



私も先生の方を向き


「うん。帰りの車で
ぐっすり寝ちゃったからかな」



暗闇の中で
先生の黒目がきれいに光る


「先生、手、貸して」


「手?」って聞き返して
タオルケットの中から
先生は手を出した



差し出された先生の手に
指切りするみたいに
小指を絡める



「小指だけ繋がってるって
可愛くない?」


私が笑うと


先生も嬉しそうに笑って


「じゃ、朝まで
こうして眠ろう」


小指だけで繋がった
ふたりの手をシーツに置く



先生はスッ……と真顔に戻り
少し言いにくそうに
口を開いた



「イチ、今日は」


だけど私は
先生の言葉をさえぎり



「ねぇ、先生。
私、先生の話が聞きたいな」


「え?」


「よく考えたら、私、先生の事あまり知らないんだ
だから先生の事をもっと知りたい」





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