先生の青
「いいお母さんね」
私が言うと
先生は表情を固くして
「カナと何を話した?」
「別に。いろいろだよ。
でも先生の家庭環境を
知らなかったから
少し驚いた」
「別に言う事じゃないし」
「お兄さんと仲が悪いって」
「向こうがオレを
嫌ってるだけだよ」
「子供の頃はやっぱり
家が居心地悪かった?」
「………良くはない」
低い声で先生は言って
表情のないその横顔を見た瞬間
強烈に胸が痛くなった
「私、その時の先生に会って
抱きしめたいな
先生が私にしてくれるみたいに
優しく………」
叶わないことを思う
もう過ぎた先生の記憶に
私が入ることなんて出来ない
うつむいた私の頬を
先生は優しく撫でた
「……そう思ってくれるだけで嬉しいよ」
過ぎた先生の記憶に
私が入ることは出来ない
家庭に居場所がなかった先生の支えはカナさんだったのかな……?
片想いでも
カナさんを想うことで
先生の癒しになってたのかな?
過去に嫉妬するのは
無意味だと思う
だけど、カナさんは過去なの?