時計仕掛けの宝石箱
常人が見ていたならば目を回す彼の行動。

それが今し方事故現場に到着した化け物にとっては、単に獲物が消失したようにしか見えなかった。

それより、予想だにしなかった壁の出現に、慌ててかけてブレーキが間に合わず‥。



ベチャッ!!



嫌な音を立てて壁に激突した。

その不自然な体勢のまま床に墜落する。

が、それも束の間。

化け物は痛みなどなかったかのか、飛び起きて開いた窓から身を乗り出した。

化け物の濁った眼が窓の外をギョロギョロと見て回り、獲物の姿を捜す。



‥けれども、見えたのは、空の青と校舎の汚れた白、乾いた土の茶色だけだった。
< 131 / 195 >

この作品をシェア

pagetop