時計仕掛けの宝石箱
大きく息を吐くと、一気に力が抜けた。

あっという間に体が崩れ落ち、座り込んでしまった。

それだけ緊迫していたんだなぁ、と響也は苦笑し、床に寝転がった。

走って火照った(ホテッタ)体に、床の冷たさが心地良い。

目を閉じ、深呼吸を一つ。

肺いっぱいに空気を入れ、ゆっくりとそれを出す。

体中に酸素が周るのをリアルに感じながら、間近に横たえた蜜羽に目を移した。

緩く結ばれた瞼(マブタ)。すぅすぅと規則正しい呼吸音が漏れる、桜色の唇。

しかし、その色は僅かにくすんでいるようだ。

‥無理もないだろう。

誰だってあんなモノを見たら、血の気が引くよな。まして蜜羽は、万年貧血なんだしな‥。

ぼんやりとそう思って、蜜羽の前髪に触れる。

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