時計仕掛けの宝石箱
いつもきちんと整えられているそれは、かなり乱れていた。

それでも、滑らかで柔らかい蜜羽の髪は、少し梳いただけで色々な表情を作る。

その姿と触り心地が良くて、響也は何度も何度も梳き、撫でる。





‥あぁ‥なんだか前にも、こんな事があった気がする‥。





ふと、響也の眼前に茜空が広がった。

長く伸びる、小さな影。

遠くから聞こえる、カタンカタンという電車の走る音。

狭く区切られた中で輝く、古ぼけた遊具。

そこに子どもの声が木霊して、幾重にもなって聞こえてくる。

ゆらゆらと不確かに踊る、セカイ。



‥あぁ、そうか。



響也は淋しそうに笑った。



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