時計仕掛けの宝石箱
はぁはぁと息を荒くして、響也は屈み込んだ。

流れ出る汗を泥だらけの手で拭い、突然蜜羽を振り返った。

そしてにっと歯を見せて笑うと、蜜羽に向かってでかでかとVサインを掲げた。

蜜羽はきゃあきゃあと大喜びして、拍手を贈る。

「すごいね、おとやちゃん!みっくんが、ぜんぜん追いつけなかったよ!」

「へへっ。すごいでしょ」

ちょっと胸を張ってはにかむ響也。

蜜羽はこくこく頷いて「また頑張ってね!」と手を振った。

この蜜羽の心からの笑顔で、今日の自分のするべき事は出来たのだと、響也の中には妙な達成感が生まれていた。

穏やかで、温かな時間。

全ての時が止まって、二人で会話しているような感覚さえある。

響也は蜜羽の笑顔一つで、こんなにも幸せになれるのかと、笑いそうだった。
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