時計仕掛けの宝石箱
ちょっと困ったように言った少年は、恐らく蜜羽の身を案じて放った言葉だったのだろう。

しかし、その言葉は凶器へと早変わりし、蜜羽の心の奥の繊細な部分を躊躇なく抉った。



(‥わたしは、いちゃダメなの?見ていちゃ、ダメなの‥?

わたしはただ、みんなを‥おとやちゃんを見ていたいだけなのに‥ダメ、なの?)



じわじわと込み上げてくる想いに押し出された一筋の涙が、蜜羽の白い頬を伝う。

「な、なに?!何で泣くの?泣かないでよ‥」

少年は狼狽して後退りをする。

だが少年の儚い願いは届かず、蜜羽はしゃくり上げ始めた。

いよいよ気まずくなった少年は、「ぼくのせいじゃないからね!」と言い残し、鞠玉ように友達の元へと転がった行った。
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