時計仕掛けの宝石箱
じわじわと滲む黒くて赤い血が、乾き始めていた血溜まりを上書きしていく。

エディリーンはそれを無情に眺め、ふぅと溜め息をつく。彼女にとってこの程度の作業は退屈なくらいだった。

それと同時に、彼女の懐から無感情な機械音が響き渡った。

着崩したジャケットのポケットから携帯電話を取り出したエディリーンは、着信を確認する。

‥その音で、ようやく響也の意識も明らかになってきた。

現在の状況も把握し、視界が明瞭になっていく。

‥最大の危機は脱したのだと思うと、思わず顔が綻んだ。

ほぅっと息を吐き、ズルリと横に倒れ込む。

ゴツ、と鈍い音が廊下と響也の頭からしたが、そんな些細な痛みは気にならなかった。

むしろ、そんな小さな痛みを感じられる事に感謝する。
< 169 / 195 >

この作品をシェア

pagetop