時計仕掛けの宝石箱
物音に気付いたのか、エディリーンは首をくるりと回して響也を認める。視線が合うと彼女はにっこりと笑った。

(‥この人が何者かなんてわからないけど、敵じゃなさそうだし。

‥あとで礼を言わなきゃな)

そう思いながら、響也はエディリーンの動作を追う。

彼女が携帯を開いた折りに、キラリと瞳を射るモノがあった。

よくよく観察すると、王冠をモチーフにした扉のような紋章の中心に、宝石のような緑の石が埋め込まれている、不思議なストラップだ。

くすんだ銀がよりソレを美しく飾り立てている。

繊細な紋様に見惚れている響也に気付かないエディリーンは通話ボタンを押し込み、携帯を耳に当てた。

「そっちはどう?

‥そう‥。まぁ、そうでしょうね。」

響也にははっきり聞こえないが、低音の声は男性のようだ。

落ち着いてはいるが、どこか不可思議に感じているよう声音。

‥やはり状態は思わしくないのであろうか。
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