時計仕掛けの宝石箱
それじゃ、また。と通話終了の決まり文句が耳に入り、響也は振り返ったエディリーンと視線を合わせる。

既にエディリーンの手に携帯はない。

ふぅ、と溜め息を吐いて彼女は困ったような悲しいような、複雑な表情で響也を見つめた。

「今、私の仲間と連絡をとったわ。迎えを寄越すように言ったから、それまでは私が付いてるわね」

「あの‥っ」

そこで響也から反応が返ってくると予想していなかったのか、エディリーンは虚をつかれた面持ちで首を傾げる。

「何か質問?」

コクンと頷いた響也は、震える声で切り出した。

「‥僕らの他に‥っ。‥生存者は、いない‥んですか‥っ?」

涙こそ流れなかったものの、響也の見開かれた瞳を彩る恐怖と一抹の希望が揺らめいている。

苦しそうに繰り返される呼吸が、響也の心中を物語っているかのようだ。
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