時計仕掛けの宝石箱
その問い掛けに、エディリーンは顔色を変えずに深呼吸をした。

「今は、あなた達しか生存を確認出来ていない」

澱みなく、彼女は現在知っている情報を述べた。それが響也にとってどんなに衝撃的で絶望的な内容でも、彼には知る権利があるからだ。

そして、エディリーンは婉曲に告げる必要はないと判断した。

これだけの状況を乗り越えた響也が、遠回しに伝えなくてはいけないような弱者ではないと、そう感じたからだ。

だから、これはエディリーンなりの唯一の誠意なのである。

対して響也はわななく唇を噛み締めて俯いた。

そこで、彼は静かに涙を流しているのだろうと、エディリーンには察しがついた。

されどもエディリーンに出来る事など存在しない。

彼を慰めてやれるほど優しくはないし、彼を励ましてやれるほど現実を知らないワケではない。
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