時計仕掛けの宝石箱
エディリーンがしてやれるのはたった一つ。

二人がこの惨劇の舞台の上で臓腑を撒き散らして果ててしまわぬように、無情の狩人となる事だけ。

己が身を盾にし、壁にし、全身に血霧を浴びて、二人を邪悪なモノを晒さないよう、踊り狂うだけなのだから。

そんな胸の内などおくびにも出さずに、エディリーンは響也に極めて冷静な言葉を放った。

「‥彼女、もう目を覚ますわ」

それとほぼ同一に、蜜羽がうっすらと瞼を開いた。

眩しいらしく眉間に皺を寄せ、手で光を遮り口を開閉する。

無声だったが、「響也」と言ったのは間違えようがなかった。

「蜜羽っ!!」

強く低く、何より安堵が響也の口から漏れ出した。

蜜羽は手を額にずらして響也を認める。

「‥響也‥私‥。‥何か、あった‥?変な‥顔‥だ、よ?」

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