時計仕掛けの宝石箱
蜜羽は僅かに微笑んで、響也の頬を拭う。そのまま、自然に蜜羽の手が響也の手に重なる‥。



「‥もう、いいかしら?」



二人は弾かれたように黒衣の少女に首を向ける。



全身が、一瞬で総毛立った。



彼女は反対の壁に寄り掛かって、右手で鋭利なナイフを弄んでいる。しかしそれが沸き立つ恐怖の源ではない。

‥二人に向けられている、その手のナイフ等よりも遥かに鋭く、冷たい眼差し。

何の感情も読み取れないアメジストが、氷海と遜色ない温度で観察している。

それが、二人の本能のシグナルを鳴らした。
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