時計仕掛けの宝石箱
ゆっくりと、響也も蜜羽も頷いた。


先程まで、狩られる間際の子兎であったとは思えないような、雰囲気が流れ出ているのをみて、エディリーンは不思議なほど、彼等に信頼感を覚えた。


(‥人にも、獣の本能があったのね)

彼等の汚れた手を握り、エディリーンは深く重い声音で語り始めた。

「どんなものにも、必ず裏があるように、この世界にも<裏>は存在するの。

人同士の諍いや犯罪組織の暗躍は、裏というよりは表の歪み、といった所ね。
露顕している以上、私達から言わせれば大した問題ではない。

本当に賢く恐ろしいモノなら、見つかりもせず、ひっそりと行動するもの。

私達シェレスが、そうよ」

話を聞きながら、響也は僅かな違和感を感じた。

どことなく、エディリーンが境界線を引いているような、そんな気がしてならない。

いや、恐らくはそうなのだろう。

それが、己が強者であるという自負なのか、恐ろしい獣であるという警告なのかは、定かではないが。

エディリーンは響也の心中など露知らず、スラスラと語り続ける。

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