やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】


「そうです。大和と一緒で大和のお母様も人の話をまったく聞いてくれないという特技をお持ちでしたから。」



「・・・・それで泊まったんですか?」



「はい。・・・・多分、初めて私を殴った大人というものに興味があったんだと思います。・・・・それで、泊まった次の日の朝、180cm近くあった私の頭を無理やり引っ張って、150cm程度しかなかった大和の母親が、その胸に抱きしめて聞くんですよ、温かいだろって。・・・私が、はいと答えると、大和のお母様は笑顔で、これが母親の温かさだって私に何度も言い聞かせるんです。・・・私は、大和のお母様が何度も言っているのを聞くうちに、いつの間にか涙を流していました。」



「龍一さんが涙ですか?」



「・・・そうです。私の記憶にある中で初めての涙でした。」



少し恥ずかしげに、それでいて懐かしげに語る執事。



「・・・・・・それで、その私の涙を見た大和のお母様が言ったんです。・・・・・今日から、アタシがあんたの母親になってやるって。」



「・・・・・それじゃ、龍一さんは、組長の家に引き取られたんですか?」



「・・・いえ、そうだったら、よかったんですが・・・そう簡単にはいかないんですよ。まったく血縁関係のない場合ですから。・・・結局、大和のお母様の申請は却下されて・・・ただ、それからは、よく大和の家に遊びに行くようになりました。」



少し悲しそうな執事の表情。



「・・・・あれ?龍一、俺のかあちゃんとデキてたの?・・・・っていうことは、龍一は俺の父ちゃん?」



考え込む組長。

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