やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・ただ手が早いってだけだって。」
組長は、相変わらずあきれた表情。
「それでも、施設で暮らしている私は、可哀相と思われてて、ある意味、アンタッチャブルな存在でしたから。・・・・初めてでしたよ。大人に叩かれたのは。」
「それで、帰れたんですか?」
「はい。大和のお母様の考え通り、すぐに解放されました。・・・学校の先生もこれ以上の面倒はごめんだったのでしょう。」
「・・・・それが最初の出会いで、どうすれば、母親と慕うまでになったんですか?」
私は、執事に尋ねる。
「それが、学校を開放されてすぐに大和のお母様が聞いて来るんですよ。あんた、施設の子だろ?親がいないんだろう?って。それで、私が、はいと答えると、それじゃ、ラーメンでも食べに行こうかと。」
「ラーメンですか?」
「はい。ラーメンです。そして、私の返事を聞かずに無理やりラーメン屋に連れて行って、気づいたら、大和の住んでいたアパートにいました。」
「思い出した!そうそう、くそまずいラーメン食った後、嫌がる龍一を無理やりアパートに連れて帰って、無理やりその日、家に泊めたんだよな。」
組長が手を叩く。