やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・俺だな。・・・・いや、俺かな。・・・・・・・う~ん、俺だったらいいのに。」
自信なげに言う組長。
「・・・・大和。あなた覚えてないでしょう?・・・・・喧嘩は途中で先生に止められたじゃないですか。」
組長の様子にあきれながら執事が答えた。
「あっ!そうだった!・・・・それで職員室で説教されて・・・・かあちゃんが呼び出されたんだよな・・・・。」
「そうです。それで、大和のお母様は、先生から事情を聞くなり、いきなり私の頬を平手で叩いたんです。」
執事は、懐かしい表情で頬をさする。
「・・・・そして、俺は、かあちゃんにグーで殴られた。」
組長も渋い表情で頬をさする。
「?・・・何で龍一さんまで叩かれたんですか?」
私は、組長の母親が、叩いた理由がわからずに聞いた。
「・・・後で聞いた話によると、めんどくさかったらしいです。学校に呼び出されて、先生に頭を下げるのが嫌で。・・・・とりあえず、私と大和を殴れば、喧嘩両成敗でさっさと学校から帰れるだろうと。」
「・・・・豪快ですね。」
「はい、いろんな意味で型にはまらない方でした。」
執事の表情は、愛しさを含んでいた。
その表情を見て、少し嫉妬を覚える私。