短編集『手紙』
「こんにちは」

髪の長い妙齢の美女が姿を現した。夏だというのに全身を黒い服に包んでいて、出ている肌と言えば顔面位。足はロングスカート、手も凝った刺繍の手袋で覆われている。

「やっと逢えた。私嬉しい」

「ど、どうも」

彼は値踏みをするように頭から爪先までを眺めた。

ゴシックか。年は行ってるみたいだけど、いい女だよな。しかもあの胸!

コルセットで絞り上げられた腰の上に有るはち切れんばかりの双房に、彼の目はチラチラと向いてしまう。


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