短編集『手紙』
「ウフフフ、素敵でしょ。これは貴方の物。自由にしていいのよ?」

「あの、僕は……」

友人がモジモジと前に出る。

「あら、貴方も居たの? 今まで有り難う。さようなら」

彼の友人はつれなく役目の終わりを告げられ、肩を落としてその場を後にした。

「私のウチに来る? 学校のすぐ近くなんだけど」

可奈子は涼しげに笑う。彼の行動の一部始終を把握していたのは、彼女の部屋に関係があったのだ。

「ホラ、見て?」

5階に有るそのベランダから見渡すと、学校の隅々までもが一望出来た。

「ここから俺を?」

「そうよ。毎日胸を焦がされる思いだったわ」

彼女はその豊満な胸を押し付けて、艶かしい吐息を吐いた。

「可奈子さん。俺……」


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