【長編】距離
「僕は.....」


「芯、ガキだからとかね。
ほんとに好きなら、年のせいにしないのよ。
ガキだけど守ってやりたいって思うのが恋だよ。」


俺の思いは、錯覚?


「じゃあ....」


「たぶん、その人に愛があるのは確かよ。
けどね。
恋とかそういうのじゃないのよ。」


朱菜は、優しく教えてくれた。


僕は、考えた。


朱菜を好きだと思ったきっかけを。


確か....


朱菜の涙を見たからだ。


それは、同情?


守りたいとかより慰めてやりたいって。


ガキの僕には、どうしようもないけど。


そばにいてやりたいって。


ただ、朱菜の涙を見たくないって。


あっ!


気づいた。


僕って、バカだ。


朱菜に彼氏がいたらって考えたとき、ショックはなかった。


ただ、やっぱりみたいな。


恋に恋してただけか。


「朱菜、ありがとう。
僕、朱菜の言うとおりみたいだ。」


「芯ぐらいの子が年上に憧れを抱いてもおかしくないのよ。
けどね。
早く気づかないと、本命とはすれ違ったままよ。」


「うん。
すっきりした。」
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