危険な彼女
「………え?」



「しゅき、だいしゅき」




そう言って桜は奈津の頬に手を当てた。



そして、ゆっくりさする。



桜に、好き、と言われたことと、いきなり頬に手を当てられ、奈津は顔を真っ赤にした。




「ごめんね…ごめんなさい…」




桜は奈津の頬をさすりながら、目に涙をためていた。



そして、しきりに謝る。


何に対して謝っているのかわからないのに、しきりに謝られても困る。



奈津はとりあえず桜の頬を伝う涙を拭いた。




「いちゅもいたいよね…

たたかれたりして、いたかったよね…」



「あ、いや………」




何だそのことか、と、とりあえず奈津は納得した。
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