モノクロ
「学費と家賃の分はこの口座。引き出す必要も入金する必要もないからカードは作らないわ。確認の記帳だけしてね」

「うん」


「生活費は毎月この口座に決まった額入れるから。ちゃんと考えて使ってね」

「うん」


「残りは定期にするけど、もし足りないことがあったら言ってね」

「うん。ホント、何から何までありがとうございました」

私は深々と頭を下げた。




三月も終わろうかという頃、新しいマンションで、陽子叔母さんと向い合っていた。


すべての手続きや処分を終えて、叔母さんと顔を合わせるのはとりあえずこれで最後。


しばらくは電話で連絡を取るくらいだろう。


遠方の叔母さんにちょくちょく来てもらうわけにもいかないし、それに、ちゃんと自分の足で立つ努力もしないと。




「やめてよ、そんな他人行儀なこと」

叔母さんはそう言って、少し悲しそうな顔をした。



結局、叔母さんの前で涙を見せたことはなかった。
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