短編集『固茹玉子』
「あそこだっ!」

軒がくられた通用口へ身体を翻す。

  パァァァンッ

乾いた音が路地裏に響き渡る。俺が撃った鍵の部分はひしゃげてめり込んでいた。ノブを回すと、幸運にも内側へドアが開く。

「しめた!」とばかりに中へ入る。そこは油の臭いが鼻につく、薄暗い厨房だった。


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