短編集『固茹玉子』
  カラカランッ!

「居たぞ!」

  パンパンッ パパン

「やったか?」「や、やられた!」「相撃ちになる。奴の思うツボだ。無駄撃ちするな!」

次々と通用口からなだれ込んでくる敵は戦々恐々となって、まだ俺を発見出来ないでいる。

「ん?」

「どうした」

「なんだかガス臭くないか?」

今だ。俺は食堂の入り口から店外に出て、物陰から床に向けて発砲する。

  パンッ

何も起こらない。しかし都市ガスが空気より軽い事を思い出す。

「マぁズイぞぉぉ? 全員、全員即刻退避だぁ!」

浮き足立った奴等は一目散に通用口へ殺到した。


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