3人の き も ち

残された男二人、会話も無く黙々と弁当を食べる。


暫らくして 圭吾が呟く様に、

「だから俺、言ったよな。」

「………。」

「穂杉のせいに、すんなよな。」


じゃあ、誰のせいで早苗が泣いているんだよ。

思わず出そうになった言葉を、映樹は寸でのところで飲み込む。

圭吾の言いたい事は、そういう事じゃないのだろう。



恋愛感情の薄い奴を、けしかける様に付き合わせたのは自分だ。


友情しか解ってない者に、自分と同じ、もしくは、それ以上の気持ちを期待するな。


確か、圭吾はそう言って。伸と早苗を近付ける事に、物凄く反対していた。


映樹、お前の気持ちはどうなんだ。…と。



苦い思いを消したくて、弁当の中身を掻き込んだ。



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