3人の き も ち

彼女が消えてから、映樹は ほうと大きく息を吐く。

とりあえず、一仕事終えた気分だ。



(まぁ、時間潰しには丁度いい場所か)


気を取り直し、切り替える様に 頭を軽く振る。


空いてる席がないか、そう考えながら棚の陰から出る。

と、こちらに歩いてきた人物と目が合う。


瞬間、マズイと思った。


去年同じクラスだった。
気やすく物怖じしない、社交的な性格。
鋭い感も持ち合わせ、時々そこが、苦手な相手。


杉本 亜矢子


美人の類いに入るだろう、実際スカウトをされるらしい。

本人にその気がないため全て断っているそうだが、羨ましがる他の女子達を映樹も見たことがある。

その亜矢子が、映樹を見て満面の笑みを浮かべた。



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