3人の き も ち


(あれは、絡んでくる気だ)


心底うんざりした気分になる。
切り替えたばかりの気持ちが、また切り替わるのを感じた。


避ける様に空いてる席に座ると、亜矢子は映樹の向かい側に腰掛けてきた。


「…なんか、用?」

「映樹くん、時間ある?あったら勉強教えて欲しいんだ。」

「…あー…いいよ。」


何か聞かれるかと身構えていただけに、肩から力が抜ける。
ホッとした。

「なんの教科?」

言いながら鞄の中を見る。
亜矢子は既に出して持ち歩いていたらしい、ノート類をテーブルに置く。

「家庭科。」

「はっ!?」

「ウソ、世界史。」


してやったり、とばかりに笑う亜矢子の頭を軽く小突く。


ふざけんな、言うと、
やっと笑った、そう返された。


「え?」

「やっぱ断るのって、緊張するもんね。」


優しい笑顔に映樹は言葉を失う。
そんな映樹を気にすること無く、亜矢子はココが解らない、と広げたノートを見せてくる。


(…だからコイツは苦手なんだよ)


また頭の上がらない人物が増えた。


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