3人の き も ち
小1時間程たったろうか。
映樹は携帯電話を取出して時間を確認する。と、メールがきていた。
(ああ、そうか)
時刻は夕方の6時半過ぎ、そろそろ美術部の終わる頃。
メールの差出人は早苗。
[ 今どこですか? ]
「ちょっと悪い。」
向かいの亜矢子に断わりをして返信する。
映樹の居る図書室は、美術室と昇降口の中間にある。
自分が居る場所を知らせると、ココに来る、と返ってきた。
「早苗ちゃん?」
顔をあげた先、亜矢子と目が合う。
「そう。悪いけど帰らしてもらうから。」
「いいよ。ありがとうね。」
黙って、教えるために出した教材を鞄にしまう。
「もしかして、ずっと一緒に帰る?」
「…なんで。」
静かに映樹の動きを見ていた亜矢子が小声で言う。
自然、映樹も小声になった。