伽羅子
数分後。

「失礼します」

伽羅子が生徒指導室にやってきた。

「おお、曽根崎、こっちだ」

俺は事務机の前に立ち、にこやかに手招きした。

「……」

無表情のまま、静かに生徒指導室に入室する伽羅子。

その表情は、何かに警戒しているようにも見えた。

「別に大した用事じゃないんだけどな。この間、何かあったら相談に来いと言ったきり、曽根崎一度も来ないだろう?校内で会う事も一度もなかったから、その後どうかなと思ってな…」

確かに校内では一度も会っていない。

その代わり、俺は伽羅子に気取られないよう、ずっと監視を続けていたのだが。

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