伽羅子
どうしても確実な『とどめ』を刺したかった。

生きていられる筈がないという、絶対的な傷を与えたかった。

俺は震える膝に喝を入れて何とか立ち上がる。

その足で生徒指導室に戻り、電動鋸とブルーシートを手に、再び踊り場へと戻る。

…どんなにしぶとく執念深く、強い生命力を持つ者でも、五体をバラバラにされて生きていられる訳がない。

どの道死体遺棄の為に、伽羅子は四肢を解体するつもりだったのだ。

電動鋸を両手で保持し。

「……」

どうしても、カッと目を見開き、白目を剥いたままの伽羅子の表情が気になった。

死んでいるというのに、その眼に射竦められそうになってしまう。

…動き出さないだろうかという疑心に脅えながら、俺はそっと、伽羅子の瞼を閉じさせた。

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