伽羅子
放課後になるのを待って、俺は伽羅子のいる教室へと足を運んだ。

「あー、曽根崎。曽根崎伽羅子さんはいるかな?」

温和な表情を浮かべ、教室内に響く声で呼びかける。

生徒達が皆、俺の方を見る。

その中に伽羅子もいた。

子供と大差ない高校生達の中で、伽羅子の大人びた美しさは一際目を引く。

一目でどこにいるのか、見つける事ができた。

「はい…曽根崎は私ですけど…」

伽羅子が席を立つ。

控えめで、少し聞き取りづらいような、か細い声。

伽羅子の雰囲気によく合っていた。

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