ペアリングを外して

 返答に困る。

 いいのかな、なんて思ってしまう。

 俺と三村の関係は秘密なのだから、彼氏としては断る理由がない。

〈いいよ。来る前に電話してね〉

 こう打って、送信ボタンを押した。

〈送信しました〉

 メッセージが表示された、その瞬間。

 俺の腕に、何かが触れる。

 驚いて目を向けると、にっこり笑う三村だった。

「よっ! お待たせ」

 さっきまで会った時の表情を考えていたというのに、イメトレは全く役に立たなかったようだ。

 無意識に顔が緩んだ。

 三村がここにいて俺に笑顔を向けていることに対する興奮が、ビリビリと首の後ろあたりを刺激する。

「小出って、どこにいるかわかりやすいね」

「は?」

「デカいから、目立つもん」

 俺の心配は必要なかったみたいだ。

 180センチの身長に感謝。

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