甘い蜜
「――――ただ単に嬉しいだけよ。この人は」
「!母さん……」
突然背後から現れた母親。その手には四つのカップを乗せたお盆。
「何時までも素直じゃないから」
「………煩い」
罰が悪そうに顔を背ける親父に母さんはクスクス笑いながら隣に腰掛けた。
「全部敬夜のためだって心を鬼にしてきて、敬夜が家を出て行った時はこの世の終わりかのように絶望していましたね」
「………」
「だから、私言いましたよ?厳しく接するのも程ほどにしなきゃ嫌われますよって」
結果私の言うとおりになりましたけどね。と心底楽しそうな母親に不機嫌な父親。
俺は全く話が見えなかった。
なに、この家庭円満ですよ醸し出してる雰囲気は。