甘い蜜
自分が言ったくせに場所を間違えたのか?……まぁいい、手間が省けた。
俺は信号を右に曲がって神谷公園の駐車場に止まる。
「ったく、俺が気付かなかったらどうしていたんだが」
もはや怒りを通り越して呆れが生じていた。
ゆっくりとした足取りで公園内に足を踏み入れる。
なかなか広い公園だが時間帯はまだ遊んでいる子供がいそうなものなのに誰一人といなかった。
近くに見えた遊具も壊れて使えなくなっている。
なんかつまんない所だな……広さがランニングに使えるくらいか?
無駄に長い緩やかな階段を上りながら思う。
「さて……」
真理子さんはどこにいるか、とキョロキョロ周りを見渡していたら、話し声が聞こえてきた。