甘い蜜
「………葛城?」
[随分な社長出勤ですね]
電話一口グサリと嫌み。
おそらく電話の向こうでは満面の笑みだろう。そして背後には黒いオーラ……
その姿が容易に想像できる。
「否……すまない」
[後何分で出勤されるのですか?]
「あ――……」
俺は、今の自分の姿を省みた。寝間着のまま色々していたから寝起きのまま。今から準備しても最低でも……
「ん……敬、夜……さ…」
電話をしながら聞こえてきたのは俺の名前を呼ぶ声。
麻理亜………
そして思い出す。
先程、部屋を出ようとした俺の服を掴んで離さなかった。
それは麻理亜が滅多にしない甘え方。