甘い蜜
その中の一つに目が奪われた。
シンプルな十字架に十字架を抱くように造られた翼のデザインのネックレス。
別にキリスト教とかではないが、妙に惹かれる所がある。
………麻理亜に、似合いそうだな。
何となく、そう思った。
チラッと麻理亜を見てみると麻理亜も何か気に入ったものがあったようでじいっと穴があくくらいにそれを見つめていた。
ゆっくりと手を伸ばして、それを手に取る。
それは、蝶を象った銀色の細工が幾つも連なっているブレスレットだった。蝶の真ん中にはそれぞれ石が埋め込まれていて綺麗な水色が輝く。
「……麻理亜、なんかあったか?」
「……ううん」
麻理亜は、ブレスレットを元に戻して俺を見た。