甘い蜜
全ては敬夜のためだったのにも関わらず、本人は勝手に教師への道へと進んでしまった。
完全な裏切りだった。
しかし、夢を捨てきることは出来なくて。
「もう十分じゃないのか?教師をやって何年だ?後何年したらお前は諦める?」
弱音を吐き始めた親父に、俺は何も言えなくなった。
まさか、親父がそんな考えを持っていたなんて信じられなかったからだ。
じゃあなんだ?今までのあの命令も、強制も全部俺のためだったって……?
お互い自分のことで一杯一杯になって、理解し合うっと言うのを忘れてしまっていたのかもしれない。
「………なら、なんで婚約を勝手に決めた」
俺を思うなら、俺の意見を聞くのが筋だろう?