探偵バトラー ~英国紳士と執事~
「一口に伝説の魔除けのこけしと言っても様々な種類がある。まず探し出して欲しいのは、『でんどうこけし』と呼ばれるものだ」


 いきなり何をのたまいやがるんだこのオヤジは。

 電動こけしって俗に言うエログッズだろうがよ! そんなモン探しにわざわざ日本まで来たのかこの変態め。

 変態丸出しの発言で口火を切ったロシュツ卿だったが、相変わらず物腰と雰囲気は文句のつけようがないほど紳士的で、いやらしさなど欠片もない。

 インターネットスラングでは紳士という単語は変態の事を指す場合もあるそうだが、彼こそはあらゆる意味で紛れもない完璧な紳士と言って良いだろう。

 アダルトグッズの古式ゆかしい名前など知らない絵理は真剣にロシュツ卿の話に耳を傾けている。


「ふむ。『でんどうこけし』か。何やら興味深い名前だ」


 絵理のこの一言にオレは思わず頭を抱えた。


「興味なんぞ持たなくていいっ! ロシュツ卿、失礼ですが絵理にあまり変な単語を教えないで下さい」


 正直、エログッズ屋にでも行ってさっさと帰れと言ってやりたかったが、さすがにそこまで言うのは気が引けた。
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