蒼い月
晴輝の表情が一瞬曇る。
「何ですぐに
言ってくんなかったの?」
「そうすれば絶対
晴輝のことだから...
夢を追えとか言うと思って」
「そりゃあまぁ・・
お前の夢だし」
「でもそれじゃ駄目だった。
1人で真剣に考えたかったんだ。
今までのことから全部考えて」
あたしは晴輝の目を見て
はっきりと答えた。
「で、どうするんだよ」
いつの間にか歩きながら話していた
あたしたちは立ち止まっていた。
「夢、追ってみようって思う。
来年は上京しようって思ってる」
「そっか」
晴輝は案外穏やかな顔で
そう呟いた。
あたしが夢を追う、ということは
だいたい予想していたのだろう。
でもそれだけじゃない。
「だから...
別れよう、晴輝」
「は?」
本当はもっといろいろな
言葉を考えてたけど・・・
その場に立つと思わず
泣いてしまいそうで。
離れたくない、と
思わず言ってしまいそうで。
「何でお前が夢を追うと
俺らが別れなくちゃ
いけねーんだよ」
「遠距離だから」
案外すぐにあたしが答えたのに
ひるんだのか少しの間黙っていたが
やがて口を開いた。
「確かに遠距離は辛いと思う。
でもお互いがお互いを信じてれば・・・」
「そーゆーことじゃない」