蒼い月

あたしが言いたいのは


そういうことじゃないんだ。



「あたしは・・・
晴輝から夢をもらった。
だからその夢を精一杯
追いかけようって思ってる。
あたしのことだからきっと、
遠距離なんて不安で仕方なくて。
仕事が疎かになることだって
当然あると思うんだ。
でもそれじゃあ、駄目だと思う」



晴輝は黙って聞いている。


あたしはつばを飲み込み、


晴輝の目を見詰める。



「あたしはほぼ毎日
晴輝と一緒にいられて
幸せだった。
だからそれを胸に
夢追いかけていきたいんだ」

「それは・・・
俺と付き合ってたら
できないこと?」

「うん」



とうとう晴輝が下を向く。



「毎日のように
電話とかメールして。
お互いの気持ちを確かめ合って。
本当ならそれが1番だと思う。
けどあたしは。
晴輝に甘えないで自分1人で
頑張ってみたい。
晴輝には夢を見つけるところまで
甘えちゃったから」



言いたいことを一通り言った


あたしは少しの間、黙った。


言い残したことは・・・


多分ないと思うから。



「飛鳥の気持ちは
よく分かった。
けど俺まだ頭がついてけない。
だからもう少し考えたい」

「うん、わかった」



あたしたちは再び歩き出した。


お互い何も話さなかったけれど


居心地は不思議とよかったんだ。


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