蒼い月

【晴輝Side】



「晴輝...
あたしね、本当は文化祭の日
スカウトされたの」

「え・・・?」



飛鳥がスカウトされた・・・?


でも確か文化祭の日は・・・



「だから・・・
別れよう、晴輝」



飛鳥は俺の目をみて


はっきりとそう言った。



「は・・・?」



俺がとっさに出たのは


この言葉だった。



「何でお前が夢を追うと
俺らが別れなくちゃ
いけねーんだよ」

「遠距離だから」



まるでそう聞かれるのを


予想していたかのように、


飛鳥は答えた。


俺は確かに遠距離は辛いと


思った。


でも・・・



「確かに遠距離は辛いと思う。
でもお互いがお互いを
信じてれば・・・」

「そーゆーことじゃない」



そういうことじゃない..?


じゃあ、どういうことだよ...


そんなに遠距離が嫌なのか?



「あたしは・・・
晴輝から夢をもらった。
だからその夢を精一杯
追いかけようって思ってる。
あたしのことだからきっと、
遠距離なんて不安で仕方なくて。
仕事が疎かになることだって
当然あると思うんだ。
でもそれじゃあ、駄目だと思う」



飛鳥の言葉には続きがありそうで。


ここでは俺は何も言わないほうが


いいっていうのは分かった。



「あたしはほぼ毎日
晴輝と一緒にいられて
幸せだった。
だからそれを胸に
夢追いかけていきたいんだ」



飛鳥があまりにも俺の目を


まっすぐ見るものだから。



「それは・・・
俺と付き合ってたら
できないこと?」



やっとのことで出た言葉が


この言葉だった。




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