蒼い月

「それでさ・・・」



晴輝が話し出す。


いきなりでも・・・


何の話かなんてすぐわかる。



「俺3日間ずっと考えてた。
どっちがいいかじゃなくて
どっちのほうがお互いの為に
なるのか・・・」



ほら、ね?


晴輝は自分のことを優先


する人じゃないんだ。


いっつもあたしのことを


考えてくれてる。



「そしたらさ・・・
やっぱり別れるほうが
いいと思った。
俺は今もこれからもずっと
好きだけど好きだからって
いつでも付き合うもんじゃないよな」

「晴輝・・・」



あたしは・・・


涙が出そうになった。


でもここで泣いちゃだめだ。



「俺も飛鳥に甘えてた。
俺こそ頼ってばっかでさ」

「ううん。
でもあたしもこれからも
きっとずっと好きだよ」



あたしは微笑んだ。


晴輝は「当たり前だろ」と


勝ち誇ったかのように言った。


それからしばらく何も


話さなかったけどいつの間にか


いつもよりゆっくりと歩いていた。



「あ!!!
ちょっと飛鳥、見ろよ!」

「え!?」



突然晴輝が大声を出したから


思わず大きい声を出しちゃったじゃん!


せっかく和んでたのに!



「蒼い!月が!」



晴輝が興奮気味にまくし立てる。


さっきまでのしんみりした


切ない空気は一体どこに?


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