蒼い月

それからしばらく、


『蒼い月』の話題で盛り上がり


だんだんとあたしの家への距離も


縮まってきた。


それと同時にあたしたちが


『友達』へと戻る時間も刻々と


近づいてきていた・・・



「そういえば飛鳥って
高校は推薦?」

「ん~・・・
推薦ていうか芸能人専用の
学校みたいなのがあるから
そこに入るかな?
そこは試験とかもないしー」

「へぇ・・・」



あっ!


しまった・・・


今あたしが言ったことって


完全に一般人との一線、


引いちゃった感じだよね・・・


晴輝...


気悪くしちゃったかな?



「でもいいよなぁ。
受験ないとか。うらやましいよ」

「え、そうかな?
晴輝は...?」

「えっ..と俺は..
まだちゃんと決まってねー」



やっぱり・・・


気使わせちゃった。


でもちょっと焦ってた...?


あ、もう家の前だ。


いつもよりゆっくり歩いてきた


はずなのに時間が早く感じる。



「あ、じゃあな!」

「・・・うん」



もっと明るく言いたかった。


最後の日くらい・・・



「飛鳥・・・」

「ん?」



あたしが振り向いたのと同時に...


「え...ちょっ..なんで!」

「最後の日くらい...いいだろ」



キス・・・された。


初めてじゃなかったけど...


帰り際にされたのは初めて。



「・・・じゃあな」



晴輝の声がなぜか


遠くに聞こえた気がした―

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