蒼い月

「よっ!」

「あ、おはよ」



晴輝との会話なんて


全然変わらないけど。


あたしには分かるよ?


晴輝も寝れなかったんでしょう?


目、腫れてるよ。


そんなことは言わないけどね。


笑顔も引きつってる。


そんなんなら・・・



「無理して話さなくてもいいのに」

「え?」

「あ、何でもない」



・・・声に出てたんだ。



「てか、宏太~!
俺今日の朝さぁ~」



こないだまでは・・・


あたしが朝の話、聞いてたのにな。


少しの違いに胸が痛む。


でも...きっと


もうすぐそんなのにも慣れるんだろうな。



「飛鳥、今日テストだよ!」

「え?」

「だーかーら!
総合テ・ス・ト!」

「嘘...」

「でも仕方ないよ...」

「うん、大丈夫だって!」



・・・全くもって忘れてた。


ありえないよね?


普通、受験生がテストの日、


忘れたりする?


あー・・・重症だわ。



♪キーンコーンカーンコーン



鳴るな、鳴るなと思っていても


やっぱり鳴らないはずはなく。


ウザったいチャイムが鳴る。


このチャイムはテストを知らせる。


あたしだけテストしないこと、


できないのかなー?



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