蒼い月

見えない壁


え・・・


嘘...でしょ?


晴輝がアメリカに・・・?


でもあたしに言ってくれなかった。


・・・・あぁ、そっか。


もうあたしは晴輝の『彼女』じゃ


ないんだもんね。


特別扱いなんてされないんだ。


分かっていたはずなのに...


自分から別れを告げたのに...



どうしよう。


何でこんなに辛いの?


何でこんなにも大好きなの?



「聞いた話だが、
アメリカの高校が瀬戸内の
野球の試合を見て引っ張って
いるらしい・・・」



あたしはそのあとの先生の話


なんて全く耳に入らなかった。



「瀬戸内は日本に残りたい
らしいんだが...」



晴輝は晴輝なりに頑張ってるんだ。


でも...日本とアメリカ。


とてつもなく離れた距離。



それはもちろん地理的な距離も


あるけれど。


何よりも・・・



晴輝の存在自体が遠く感じたんだ。



同じ中学からでも、


こんなにも存在が遠く感じて。



付き合っていたのに


手を伸ばせば捕まえられる、


そんな距離だったのに。



もう全く捕まえられない。



いや、捕まえちゃいけない。


そんな距離になる。



でもきっと、その選択は間違ってなんか


いないよね。


だってお互いがお互いの可能性を


信じて選んだ道だから。






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