【実話】アタシの値段~a period~
言葉を聞き終わるよりも先に
大型犬の荒い呼吸が
降ってきた。
「そんなに…急がなくても…」
オヤジの息を
全身に浴びながら
天井に浮かんだ染みを見つめる。
キモチワルイ
キモチワルイ
キモチワルイ
アタシの身体の上を這う大型犬は
それはそれは醜い
本能のカタマリへと姿を変えた。
アタシはいつも目を閉じる。
じゃないと夢に出てくるんだよね。
夢の中なんてさぁ
金にもならないのに。