黒き手が…
ユマはアキの言葉を返すだけだが、それがミナには気に入らない。

アキの腰巾着とも、影ともウワサされるユマは、元よりフーカのように大人しい少女だった。

しかしアキのような強きものに憧れ、こっちの道に進んでしまった。

「…そう。で、中に入るのね」

いい加減、会話をすることもイヤになり、話を進めることにした。

「そっ、こんくらい、乗り越えられるでしょ?」

そう言ってアキは、ひょいひょいっと門を乗り越えた。

…この身軽さは、マカに匹敵しそうだ。

ため息をつき、同じようにミナは門を乗り越えた。

「っと…。さすがに二人はムリでしょう?」

ミナはユマとフーカを指さした。

二人とも、あまり運動神経は良いように見えない。
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