俺が大人になった冬
「ね、寝ようかな……」

ポツリとそう言うと俺は、彼女より先に布団に潜り込んだ。

布団に潜りながら、ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着ける。そして、意識をしていないような口ぶりで

「寝ねぇの? もう遅いし早く寝ようよ」

と、聞きながら布団の中から顔を出した。彼女は少し戸惑いながら

「はい……」

と返事をして俺と距離を取りながら布団の中に入り、俺に背を向けて布団の端に寝ころんだ。

「もっとこっち来なよ」

「大丈夫よ」

「いいから」

言いながら手を伸ばし後ろから彼女を抱くすくめ、自分の方に引き寄せた。

俺の行動に驚いたように、ビクッと彼女の肩が上がる。
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