きみに守られて
「この紫色の模様がね、
ホトトギスの胸の斑紋に
似ているからついた名前なのよ」

小さく、
一つや二つなら見過ごしてしまいそうな
その花は、
凛と自己主張するように
仲間と寄り合い助け合うように
咲いていた。

優里は不意に、
ユリツキ側に振り返る。

「この辺りってね、
表の世界じゃあり得ない程、
沢山の種類の
ホトトギスが咲いているの。
もう少し奥に行くと
湿った所に咲くホトトギスがあるし、
ここの下の方には・・

そう、ユリ兄の生まれ故郷にしか
咲かない黄色いやつとか・・。

凄い皮肉なのは、
表の世界では、
心無い人たちに乱穫されたりして
絶滅が危惧されているはずの、
ホトトギスとか、
環境破壊で
生息地が少なくなっている
花達とかが、
ここには沢山あるの。

咲く場所も違う、
気候も違う、ホトトギスが
たくさん咲いてるの。
みんな、一日から四日ほどの・・
短い寿命の花たちなの」

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