【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「行くぞ」
ナツキを押しのけるようにして秋月会長の腕が伸び、乱雑に私の腕を掴む。
「え、あ、ちょ……!」
抵抗する間もなく強い力で引かれ、腕が痛んだ。
背後からは笑みを含んだようなナツキの声がして、
なんとか顔だけ向けると、ナツキが苦笑混じりに手をひらひらとしているのが、かろうじて見える。
「ばいばーい結香チャン。またね」
その声に反応するように、秋月会長の手のひらにより一層力がこもった。
もっと振り返ろうとした私がわかったのか、秋月会長はぐいぐい進んでいく。
「返さなくていい」
ぽつりと垂らされた言葉に、私はナツキに挨拶を返そうと開きかけた口を、ゆっくりと閉じた。
その代わりに疑問を口がつく。
「お知り合い、ですか?」
刹那の瞬間、背後の私を捉えた瞳が、また直ぐに前を向く。
「……なるほど」